2012年1月28日土曜日

いちばんを狙うのです!

かつての民主党の看板施策の感すらあった事業仕分けで、レンホーさんの「1番でなければいけないんですか?」との発言は、流行語になりそうなくらい印象的だった。

しかし密かに思ったのは、ここは1番でなければいけないのです!とあの場で科学に携わる人間に叫んで欲しかったと思う。

2番で良いやと思うことは、10番でも20番でもいい。開発競争にやる気がないことを意味する。ま、形だけ研究を続けて少ないけどそれでも研究費がもらえればいいや・・・そんな感じになってしまう。(じっさいそういう研究者はごまんといる)

そんな研究に金を掛けをかけるのですか?
掛けるのです!
と答えてほしかったなぁ・・・

世界で一番になる情熱がなかったら、研究室の片隅で、長い実験を繰り返して、苦しい討論を経て成果を得るなんてことはない。

世 の中に便利なものが生まれたり、新しい医療が開発されたりするのは、こういう地味な研究者のおかげだ。情熱や夢がなかったら、苦しい作業を何年も何十年 も続けるはずがない。(もちろん成果を挙げることを目指さず、ただ生活の資として研究を続ける人はたくさんいる)

最近の例では、白色LEDの商品化がずいぶん照明の世界を変えつつあるし、iPS細胞の研究が再生医療などに応用展開されることを期待している。はじめは本当に地味な場所から情熱を持った人がスタートさせているはず。

少しでも進歩したい気持ちを持つ人、それを商品化したいと奔走する人、宣伝する人、そういう人がいなければ新しいことは世の中に生まれてこないし、新規事業など生まれるはずもなく、長期にわたって企業が存続することは出来ない。

技術開発に携わった頃、よく言った。
塩や砂糖を作る仕事をいまさら始めても仕方ないんだ。
便利なもの付加価値のあるものをやらなきゃしょうがない。
そこにはかならず競争相手がいる。
最初に特許をとらなければダメだ。
つまり1番になるということだ。

パフォーマンスの匂いのする事業仕分けの短い時間で、技術開発において1番になるチャンスの芽が摘まれることを危惧するのだ。また、役たたずの研究を続けて、無駄使いばかりしている研究者たちを格好よくやっつける勧善懲悪の図が、世間に受け入れられてしまうこともかなりヤバイ。マスコミが仕掛ける世間受けしやすい図に乗ってはいけない。もっと国民は賢明になるべきだ。

こういう思いは、けっきょく日本は、科学技術立国(知的財産権立国)しか道はないはずだという根底の考えがある。



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