2012年2月1日水曜日

福島第一原発2号炉の内部調査に思うのだが・・・

もう2週間ほど経過するが、先月の19日に、2号炉の格納容器に穴を開け、内視鏡で内部を観察するという作業が行われた。

内部は蒸気だらけでまるで風呂場の中みたいな状況だし、高い放射線量のために、おそらく画像素子(CCD)にノイズがいっぱい入って、満足な画像を得ることはできなかった。とても不鮮明な画像が数枚公表された。

報道機関に予告までして、内視鏡観察をおこなった今回の作業。情けない結果である。誠に情けないと感じた。何をやっているのだろう?一歩踏み込んで考えていないということが、よくわかった。

たえず水を注入しているし内部が高温なのは分かっているので、蒸気が充満しているのは当然。そんなのは内視鏡の先にパージする機構をつけるか、格納容器内を乾燥空気で置換しなければ意味がない。そんなことを検討した形跡がない。

放射線だってたくさんあるのは分かりきっている。なぜ長いファイバを使って、画像素子を放射線の少ないところに設置しないのか、不思議でならなかった。画像素子は光励起によるキャリア発生で電流を生成するが、とうぜん放射線によってもキャリアが発生する。

内部を見ることで、容器内の状況を確認するという今回の作業目的がよくわからない。まず覗かなければダメだという頑迷な頭で臨んだのだろうか。 内部の状態を知るには、放射線量や湿度、温度、下部の水位などが、重要な技術情報だ。とくに水位はメルトダウンの状況を知る上で、重要な数値である。

水位センサを持ち込んだとは報道されていない。しかし単純な水位計を挿入すべきだと思った。穴から内部に垂らせばいいだけで、正確な水位がわかる。

今回の作業は、温度計測以外はほとんど何も成果がなかった。まあ失敗といっていいと思う。企業の研究所で、こんな実験報告をしたら頭からどやされるだけだ。

東電のスポークスマンの松本部長代理。このような作業を積み重ねて、前進していくことが重要だと考えております、というような趣旨の見解を述べていたが、今回も人ごとのように話していた。
こんなザルな作業をいくら積み重ねたって進展するとはとうてい考えられない。


2 件のコメント:

  1. テレビに映ったわけのわからない映像覚えてます。
    専門家が英知と技術を結集して問題解決に当たっているものと信じたいのですが…やっぱりザルですか。
    素人の私には難しい話は分かりませんが、この先何十年と続く廃炉までの期間、無事に(既に無事ではありませんが)終了するのでしょうか?もしかして、終了もないのでしょうか。

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    1. ご訪問ありがとうございます。
      今回の内部観察の作業は、やはりザルと感じてしまいます。
      原発事故の事態の収拾や改善に寄与した作業だっただろうか、と疑問に思うのです。内部が曇っていたと分かりましたと言われてもねぇ・・・
      内部観察は失敗だったと思いますが、さてその次は何をするのか、どういう行程を経て原子炉内を解析し、安全化し、分解し、収拾していくのかさっぱり分かりません。お手上げなんですと言いたいのか、あてなくやっている気がします。
      もう東電という一企業の内部の作業ではありません。きちんと行程を公開して着実に進めて欲しいと思います。

      東電の手による内部調査でなく、さまざまな分野の専門家による客観的な立場の調査団を組むべきだと思いますね。航空機事故の場合でも調査団はそうなっています。

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