2012年2月21日火曜日

なんとも不愉快な停滞感

先日の新聞記事で、昨年の10~12月のGDPは前期比で0.6%減とマイナス成長と報じられた。この結果、2011年の通年の名目GDP(物価変動を取り入れたGDP)は、前年比2.8%減となるとのことだ。この数字は、20年前の日本経済の水準と同じだそうである。震災の影響などがあるにしても、失われた20年といえるのかもしれない。

先月の貿易統計は、ちょっとショックな数値が並んでいた。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が、31年ぶりに赤字(2兆4900億円あまり)に転落。貿易収支の年度別グラフを見ると、1980年の第2次石油危機で輸入額が大幅に増えたときの赤字レベル(2兆6000億円)に近い数字だ。この赤字となった1980年以降は、2010年までは黒字をずっと維持していて、1998年には最高の13兆9900億円という数値を達成している。弓なりに黒字に転じていたグラフが再び赤に戻った。

パナソニック、ソニー、シャープなどの主要電機メーカは、テレビ事業などで苦戦して大幅な赤字。日本の得意としてきた電機、自動車などの産業分野において、新興国などの追い上げに太刀打ちできない日本の姿が思い浮かぶ。

こういう事象をまとめて言うと、日本には強い輸出産業がなくなりつつあり、長い凋落の坂を転げ落ちているということだ。むろんユニークな小さな企業や、町工場のような存在が、世界を相手に頑張っている話はよく聞く。しかし日本全体の振興につながるような規模の産業となると、今後はどのようになるのか。なんだかイメージが湧かないのだ。

医療分野で先端を行っているか?
IT分野は?世界に輸出できる技術はあるか?
携帯もけっきょくスマートフォンに雪崩を打って切り替わっている。
すでに半導体は韓国などに太刀打ちできない。
ソフトの分野は強いか?

とくにこの10年くらいの間に、新しい技術や産業の勃興があっただろうか?なにか日本を駆け巡ったのだろうか?またそのような次世代への投資が行われただろうか?人材の育成にお金が使われているだろうか?私感だが、政治の世界においてもますます官僚の力が強固になり、新しい施策が次々となし崩し的に骨抜きになってきたように感じる。

停滞した社会では、いかに既存の社会の階層の上位に上り詰めるか、いかに自分の取り分を増やすかが関心事となる。そしてがんじがらめになった組織や慣習を変革する力を、そぐように作用する。こうして、ますます停滞の度が増していく悪循環にはまる。

日本の成長のシナリオが見えないのだ。またそのポイントに投資を継続するという方策も生まれない。なんとも不愉快。


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