2012年2月4日土曜日

今日は、仕事をしましたか?

海老原嗣生著『仕事をしたつもり』を読む。

仕事をしたつもりとは、
・けっこう一所懸命仕事をしている
・まわりもそれを認めていて、非難する人はいない
・本人はその行為にまったく疑問を持っていない
・しかし、成果はほとんど出ていない
という状態のことを指す。

残業までしてクタクタになっているのに、
仕事ははかどらない。成果が出ない。
こういうのを「仕事をしたつもりーマン」というのだそうだ。
縮めて、「ツモリーマン」。

会社員時代にこういう事例は、いやというほど見聞きした。
(以下自分の体験談)

残業してふうふう仕事している人間より、
効率よくさっと仕事を仕上げて早く帰る人間の方が、
職場ではなんとなく浮いてしまい、けっきょく嫌われる。

いつしか定時後にお菓子でも買って、
みんなと群れあって、雑談でもしながら、
そうそう仕事の成果って上がんないんだよね~
と愚痴っているのが習慣になる。
(ただ、残業代や手当はしっかりもらえる)

いつも帰りが遅いことを聞かれると、
「いや~このごろ忙しくってねぇ・・・」

日本人は長時間労働と言われているけれど、効率はすごく悪いと思う。
多分、仕事の時間の半分は無駄。
いやもっとかもしれない。

OA機器の浸透で、社内でもプレゼンするには、パワーポイントを使って、
プロジェクターでやることが当たり前になった。
するとそのための資料作りけっこうな日数を費やしてしまう。アニメなどを入れたりしてね。

配布資料も配らなければならない空気があって、けっきょく総カラー版になる。でも一字の間違いを見つけると、全部刷り直して綴じなおす。

で、重要と言われる会議では、自分で単独発表するわけにはいかない。
上の人間にチェックという関門があって、あれこれと修正が入る。
直属の上の人間と、さらにその上の人間というふうに関門が2つあったりする。
各関門で正反対のことを言われれば、関門通過のたびに、こっちに転び、また元に戻って転び、そんなバカバカしいことを何度も繰り返す。
その都度、パワーポイント資料が変わり、配布資料も変わり・・・大量の廃棄資料が生まれる。

いつしか発表内容は、当たり障りのない無難なものに落ち着き、
プレゼンもインパクトのないものになり、却下されたりする。
(こんなことを続けて、尖ったところをすり減らしたら、
特徴もなく、毒にも薬にもならないものが出来上がる)
こんな集合知はいつも愚かでしかない。

多大な時間と労力と資源を費やした資料が、会議でまともに読まれないことすらある。
どれだけ森林資源に対して罪なことをしているのだと問いたい。
それじゃ最初からやらなければよかったとなりねない。
忙しい思いをして、成果はほとんどないわけだ。

たぶん平凡な会社ではこんな同様な事柄が繰り返されている。こんな雰囲気に上から下まで染まっているから、本当の危機感を持っている人間は弾かれたりする。ますます会社は健康体から病理体質になっていく。
日本全体で見たら、どれだけ未来への活力を奪い若い人達を疲弊させているのか。

仕事の本質を考えない、あるいは目的を問うことを禁じられている風土。考える習慣を教えこまれない教育システムからは、さまざまな疑問を持ち、自分で調べ上げるような人間は出てこない。
こんなことでは、欧米だけでなく、新興国にも、いともたやすく追い越されてしまだろうなぁ・・・
(すでに追い越されているよ、と陰の声も聞こえる)

仕事したつもりになって、体と精神をすり減らして、
成果はほとんどないのでは、日本は衰退国家になるしかない。
私見だが、日本の未来の道は、科学技術立国しかないのではないのかな?


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