2012年2月3日金曜日

全電源喪失のなぞ

昨年3月11日の巨大地震により、福島第一原発が深刻な事故に展開するに至ったのは、通常の電源が供給不能になったこと、さらに非常用電源もダメになったという事態だ。いわゆる「全電源喪失」といわれているこの状態、もとエンジニアの自分には、なぜそんなことになってしまったのか不思議でならなかった。

まず正常な電源が使えなくなったのはなぜなのか、そして非常用電源が使用不能になったのはなぜなのか。その疑問をはっきりさせるために、いろいろな情報や書籍などを調べてはみるものの、事態の推移を客観的に述べたものが見当たらない。

ネットの情報で、明らかになったのは、正常な電源が供給されなくなったのは、津波が襲った地域とは関係のない山の中に建設されていた送電線の倒壊と、電線ショートなどの事故によるものだという事実。
NHKネットニュース (2011年5月24日)

そして非常電源が作動し、原子炉の緊急冷却動作などの処置をしている最中に、津波が非常電源系統を襲い(浸水してしまい)、全ての電源が使えない状態となったということらしい。

結果だけを見て、あれこれと批判するのは容易だが、疑問がいくつか浮かぶ。 送電線鉄塔が倒壊したのは、設計強度を越える揺れが襲ったためなのか。電線のショート事故が発生したのも、設計許容値外の話なのか。 非常電源は、なぜ津波の浸水で使用不能になってしまう設計なのか。津波の大きさが大きすぎたために「想定外」の事態に見舞われたのか。

自分には(部外者には)詳細な技術情報は得られない。しかしこれら疑問に対する答えがないまま、なし崩しみたいな安全宣言がなされて、全ては対策が終わったとされるのは困る。東電という一企業内部に収まるような事故ではないのだ。

他の原発では安全なのかどうなのか、それを判断するためには、福島第一原発で起きた全電源喪失の経緯や、欠けていた対策などが明らかになること、他の施設に対してもどうなのかを検証しなければならない。

再発防止にとても重要なそのような内容の報告が、聞こえてきているとは思われないのだが。
またその情報が、「国民が自ら努力して調べないと」得られない状態がいいとは思われない。
国や東電の公式見解を示すものは、どうなっているのだろう。


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