2012年2月11日土曜日

安全とは何を指すのだろう?

福島第一原発の全電源が喪失し冷却不能に陥るという事態は、最も回避しなければいけない最深刻回避事項だったのに、なぜそんなことが現実に起きたのだろう?この疑問はいまだ11ヶ月を経てもボクの頭の中をグルグルと回っている。またそれに対する解明や表明の情報に接しないことも、なおさら不安な気持ちにさせる。

『地震により、ふだんはありえない細い通路が不運にも開いてしまい、悲劇の扉が開いた』という概念的な説明では、なにもわかったことにならない。細い通路はなぜ開いたのか?そもそもそれはほんとうにありえない「細い」通路だったのか?

波が巨大だった、想定外だった、という説明(言い訳)が、震災当時さかんに報道されていた。しかし、8/26の読売新聞の記事で明らかになったのは、東電内で津波の高さ試算レポートの第2報なるものが、2008年に東電上層部に提出されていた。結果的にそれを握りつぶしたことになった。

その試算とは、M8.3の明治三陸地震(1896年)に相当する地震が、原発の面する福島沖で発生したと想定したとき、原発に到来する津波の高さはいくつになるか?というごく自然な発想にもとづく試算だ。原発の安全性を審査するには必須の項目であっただろうと思われる。

その計算結果は、津波の高さ15.7m。今回の被害をもたらした津波は14m~15mといわれている。 握りつぶしたことになったというのは、東電は2002年にもうひとつ、最初に試算をしていて津波9.2mと予測、その結果は2009年に保安院に報告されている。 2番目の15.7mの予測結果は、土木学会に検討を依頼している。慎重にことを進めたということなのか。保安院にはすぐ報告しなかった。

東電トップが、予測した津波高さが、高すぎるのではと結果に疑念をもった雰囲気もある。予算がからむ事態を予想して、計算結果の評価にバイアスがかかったか。

2つの試算結果が合わせて保安院に報告されたのは、試算日から3年後、2011年3月7日。なんと皮肉なことに地震の起きる4日前だ。その試算結果の報告を受けた保安院は、設備面の対策が早急に必要と東電に助言したと言われている。
(ちなみに保安院は原発建設や運転における安全対策について指導監督する立場にあり、今回の事故を受けて、なにか見解を表明したとか責任を感ずるとかの会見をしたことがないと思う。雲隠れしてしまったのだろうか。とてもマカ不思議な組織である。)

ボクの基本的な疑問とは、電源(非常電源も含めて)が、なぜ海辺に晒されていたのだろうということだ。あとで敷地内の配置を見たら、原子炉より海側に電源設備がある。画像によれば、金網を張り巡らせた中に電源設備が設置されていた。 単純に、非常電源をふくめ電源は、地中にあるものと思っていた。それが潮風の当たる海辺とは・・・ これじゃダメじゃんというのが第一印象。

津波でなくてもテロ攻撃や、航空機の不時着や墜落、どこかの国の◎◎ドンが飛んできたら、どうするんだろうか?想定してませんでしたでは済まないだろう。今回のことで国家の危機を海べりに晒していたことが明らかになってしまった。

津波の高さを心配して、予測の計算をするくらいだったら、原子炉は要塞化すべきだったと思う。その際に、とうぜん制御系や電源系は、地中深く隠されているべきだ。 コストをかけることが可能ならば、原子炉自体を地中深く設置すべきだと思った。

海水を導く緊急水路を地中の原子炉の上部に設置しておき、今回のような最終事態となったら、手動でバルブを開き、海水注入が手動で行えるようにしておく。とりあえず空中爆発や放射性物質の飛散の最悪事態を、原子炉全部の水封で防ぐ。

既存の安全設備の脆弱さを知り、ほんとうに危惧したことは、原発とは、いったいぜんたい民間企業がやるレベルの事業なんだろうかということだ。民間であるなら、利益計算して最小コストで原発を建設することになるだろう。そんなコストの制約をかいくぐりながら建設する姿勢で、ほんとうの安全が確保できるのか?民間ならば、安全にかかわる設備も、事業利益に見合う安上がりのものに落とさざるを得ないだろうという危惧である。

今回のような原発事故が起きてしまったら、国家の危機を招きかねない。このようなリスクが明白になってしまった。ボクは国有化すべきであり、安全の検証は外部の客観的な団体に委ねるべきだと思う。



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